さがしモノ


転校生ちゃんにまちを案内してからはや一週間がたった。

5月も後半に差し掛かり、学校中は来週開かれる球技大会の話題でもちきりだ。


サッカー、野球、テニス、バスケ、バレー、卓球の6種目の中から最低1つを選択し、男女にわかれて行う。

順位ごとに得点がつき、優勝したクラスには賞状とトロフィーがもらえるこの球技大会は文化祭、体育祭に続くビックイベントなのでなんだかんだでみんな楽しみにしている行事である。



そして現在は、その大事な種目決めの真っ最中。

学級委員が何やら喋っているが、ぽかぽかした陽気のなかでそんなことを真面目に聞いていられるわけもなく、眠気に負けてわたしは机に伏した。


今のこの時間も転校生ちゃんは教室に居らず、きっとこのまま帰りまで教室に来ることはないだろう。

あのノノムラ ユウの件があった次の日、わたしは転校生ちゃんにめちゃめちゃ謝られた。

わたしが帰った後、2人がどうなったかは知らないが、転校生ちゃんはノノムラ ユウと無事打ち解けたようだった。


授業にはしっかり出ている転校生ちゃんだが、こうして1度教室から居なくなると帰ってくることはほとんどない。


蘭王龍の姫という肩書きと、昼休み、放課後は総長さんが迎えに来てしまうことが邪魔して、転校生ちゃんは未だにクラスに馴染めていないような感じだった。

< 39 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop