さがしモノ


「ねぇねぇ榊さん」


そんなとき、ぼぉっとしていたわたしの肩をトントンと誰かが叩いたのでゆっくりと顔を上げた。


「なんか種目の希望ある?なければバレーに出て欲しいんだけど…」



目の前にいた学級委員の子だった。
ちらりと黒板に目を向けると、種目の下にずらっと名前が書いてあり、球技大会の種目はあらかた決まっているようだった。



「いいよー、わたしなんでもいいからー」



そういうと、学級委員ちゃんは「ありがと」と言って立ち去ると思いきや、先程よりわたしに顔を近づけて少し声を落として言った。


「…あのさ、宮咲さんもバレーでいいと思う?」



そんなのわたしに聞かないでくれよ、と思ったけど学級委員ちゃんもきっと蘭王龍の目を気にしているんだろうと思い、声には出さなかった。



「別にいいんじゃなーい?わたしが伝えとこうかー?」



親切にわたしがそう言うと、「ほんと?ありがと!すごい助かる!」と学級委員ちゃんは安心した表情を浮かべた。


「いいえー」



「…ねぇ。こんなこと聞くのはどうかと思うけどさ、なんで



先程と一転して真剣な顔でなにか言いかけた学級委員ちゃんだが「ゆいーちょっときてー」という友達の声に「ごめん!なんでもない。宮咲さんによろしく!」と言い残して去っていってしまった。



あの子、ゆいって名前なのか。学級委員だし、覚えておこうか。


先程のあの子の表情を思い出して、果たして何を言いかけたのか、わたしは内心首をかしげた。



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