さがしモノ
その後は順調に球技大会の種目決めは進み、特になんの問題もなく終わった。
「ばいばーい」
「また明日ね〜」
「ああー部活だー」
そしていつも通りのHRを終え、やってきた放課後。賑やかな教室は今日の授業が終わり、どことなく開放的な雰囲気となっていた。
ほとんどの人が席を立っている中、わたしは耳にイヤホンをさし、机にひとり伏せていた。
もちろん部活なんてものはやって居らず、いつもは速攻で帰宅するわたしだが、今日はちょっとだけ日常から外れてみようという気分になったのだ。
耳から聞こえてくるのは今流行りのラブソング。
゙好きだ゙のフレーズがやたら出てくるこの歌はどうも好きにられそうになかったので飛ばした。
「まーいーかー」
次の曲のメロディーが流れ始めたその時、左耳のイヤホンが何者かによって引っこ抜かれた。
「なーに。そーまさん。」
顔を上げると、今日も見た目だけは爽やかなそーまが立っていた。
バックを肩に乗せているだけなのになんとなく様になっているのがむかつく。
「特に何も無いけど。ひまだったからきた。」
「ちょっとー、わたしは忙しいんでお引き取りくださーい」
「えー。いいじゃん。たまには一緒に帰ろうよ。」
好青年なそーまはいかにもサッカーをやってそうな風貌だが、わたしと同じくして帰宅部だ。
「わたしはこれから用事があるのー」
「教室での用事ってなにさ?」
「転校生ちゃんまってんのー」
「へー」
興味なさげな返事とは裏腹に、唇の端を少し吊り上げるとそーまはわたしの後ろの席に腰を下ろした。