天国からあなたに 天国のあなたへ 0.5
第1章 ~彩坂 有希乃~
私は今、病院のベッドの上にいる。
目からは、涙がこぼれていた。

「どうして私が生きていて、あなたはいないの。
ねぇ、どうして」

病室には、私以外誰もいない。
誰に訴えるわけでもなく、私はひとり、泣き続けた。

透き通るほど綺麗な夜空には、青白い光を放った月が丸い姿を現していた。

病室の窓からあふれるその青白い光を見つめていると、どこか知らない世界への入り口のような気がした。

痛みも感情もない、静寂な世界への入り口・・・。

泣き始めて、どのくらいの時間がたったのだろう。
1時間、2時間、丸1日経過したようにも感じる。

泣きながら、私はいつの間にか眠っていた。

そして、あなたの夢を見ていた。

まだ痛みを知らない、初めて出会った頃の夢を・・・。


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