だから雨は嫌いだ
3年生が必死に練習する姿を見て、1年生も必死に応援をし、ボールを拾う。加藤先輩はいつもより張り切っていた。もうすぐ引退、それが3年生にとって大きいものになっていた。

ヘトヘトになりながら帰路についた。雨が上がり、すこしすっきりしていた。ゆかりはやっぱり制服は乾かなかったらしく、少し着崩したジャージ姿で隣を歩いていた。
「加藤さん頑張ってたよね！」
「そうだねぇ。」
「ゆかりはポジションどこ目指してるの？」
「私はレフトかな。小学校もレフトだったからライトよりやりやすいもん。かなえは？」
「私はリベロ！私はゆかりみたいに大きくないし、ちまちま動いてる方が好き！」
「レギュラーは限られるから頑張ろうね！」
「頑張ろ！」
そう話して笑いが止まらなくなった。真面目じゃない2人がとびきり真面目な話をしたからだ。
「あれ？夏世じゃん？」
「夏世かな？」
公園で立ち話をしていた。加賀夏世は同じバレー部だ。クラスは違うがノリがいい真面目な子だ。ただ真面目な夏世が煙草に火をつけていたから夏世かわからなかった。信じられなかった。
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