だから雨は嫌いだ
教室にはいると目を疑った。机が黒く染まっていた。椅子も黒かった。茶色い、木の机の面影はなく、白い文字だけがやたらに目をひいた。『しね』の文字はどこか見たことがある文字で、それが加藤先輩の字であることに気付くまでそうもかからなかった。
机の前で立ち尽くしていたらゆかりが来た。ゆかりの机は真っ赤に染まり、同じ字でやっぱり『しね』とかかれていた。ゆかりも誰がやったのかわかったらしい。
周りは傍観者だ。ヒソヒソ話すだけで話しかけもせず、ただ見ている。喫煙で停学になり、部活停止も広まっているに違いなかった。私は鞄を持ち、ゆかりと一緒に教室を出た。夏世のクラスに行くと夏世の机は青く染まっていてやっぱり『しね』と書かれていた。夏世の姿はない。聞いてみると登校してないらしく、机は朝来たら青くなっていたらしい。
私とゆかりは部室に行ってみた。靴も練習着もごみ袋に入れられ、私たちの持ち物は何一つロッカーにはなかった。ここまできてようやく涙がこぼれた。
当然の報い、私たちには受け止めきれずにただただ泣いた。
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