だから雨は嫌いだ
目の前を見慣れた背中があるいていた。背広を手に持ち、少しガッチリとした筋肉質な背中。父だ。
「お父さん!」
「かなえ!」
大好きな父めがけて走っていく。父の横でぴったりと止まった。
「おかえりなさい!」
「ただいま。帰りが遅いじゃないかー。」
「だってお腹空いたからご飯食べてきたの。今日練習すごいつかれちゃって」
「お母さんが作った夕飯をどうするんだ」「食べる!」
「豚になっても知らないぞー。お父さんの子供は豚じゃなくて人間だー。」
「うるさーい!明日朝練頑張るもん!」
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