だから雨は嫌いだ
インターホンをならして綺麗な人と小さな子供が出てきた。「おかえりなさい。」
「パパおかえり!」
「ただいまー!おりこうにしてたかー?」
見慣れた傘に見慣れた背中の男はそう言った。そして家の中へ消えた。口を開いたままただ立ち尽くして、私の心が冷えるのを感じた。
梅雨なんて季節はまだまだ肌寒い。私はさっきよりものろのろと、家に向かった。
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