虹の架かる橋
マサと、ケンは車を降りた。


私は…。
降りたくない!


「早く〜。降りてよ、ケイ。」
ケンはニヤニヤしながら、私が怖がっているのを楽しんでいる。


勘弁してよ…。


マサに車のドアを開けられ、腕を引っ張られ仕方なく車を降りた。


そして、ケンは先頭切って話の場所に歩き出した。


私はマサの腕をがっちりと掴んで離さなかった。





幽霊を見たとか、そういう非現実的な事は無かったが、ずっと怖かった。


怖い所巡りも終えて、私はぐったりしてた。


ずっとへんな緊張をしてたからだ。


それから、ケンとバイバイして、マサの車に乗り込んだ私はマサを睨んだ。


「酷いよ。私が怖がるの楽しんだでしょ!」


「ごめん、ごめん。」
マサは私に向かって謝って、話を続けた。


「約束、守りたかったんだ。マジでごめんね。」


約束…。


そうだったんだ…。


浜松で、ケンの地元の怖い所に行こう、って約束。


そうやってマサは確実にNZに行く為に、日本での出来事を整理してるんだね…。


私の事も、そのうちなんらかのカタチになるんだよね…?

凄く哀しい気分になった。


ねぇマサ?


マサは今、何を考えているの…?




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