虹の架かる橋
「マサ、今日は帰るよね?」


私は、マサと離れたくなくて聞いてしまった。


「うん、親に車を返さないと…。」


「そっか…。」


そして車は家に着いてしまった。


マサはギアをPに入れ、シートを倒して「疲れた、少し、休憩!」と身体を伸ばした。


「家に上がってお茶でもいれるよ…。」


「いや、それはいいや。上がったら、俺、多分寝ちゃうから。」


断られた…。


マサは意思が強いんだね。

私だったら誘惑に負けてしまうなぁ。


私もシートを倒した。


私からキスをして、マサを抱きしめた。


それから少しすると、遠くの空がうっすら明るくなった。


「朝だね。」
マサは、私に笑顔をくれながら言った。


「うん。だけど、これだけ居てくれるなら、家に入れば良かったね。」
私は照れながら言った。


「いいじゃん、一つ思い出増えたし。」




マサのその言葉が 胸を痛くさせた。




私は、その気持ちをマサに悟られないように、笑って、「帰るね。」って車を降りた……。



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