虹の架かる橋
私は入り口近くに座っていた。


隣はタクだったけど、タクがトイレに席を立った為、その隣のマサが隣になった。


チョットだけ嬉しい気分。

「歌、入れた?」
私はマサに聞いた。


「ううん。俺、歌ってあんまり知らないんだよね。昔の歌ばっかり知ってるんだ。」
と、ニコニコ顔で答えてくれた。


「じゃあ、昔の歌でも入れれば?私も昔の歌入れるし。」
私がそう言うとマサは頷きながら、曲を探し始めた。


マサは「どれにしよう?」と独り言をいいながら、かなり迷っていた。


それを見ていた私は、「じゃあコレ!」と言って、適当にマサのレパートリーの中の曲を入れてしまった。


「えぇぇ。勝手な決めんなって。」


マサは慌てた感じで私に言った。


私は得意げな顔して笑った。


しょうがないなぁ〜、といった表情をしながらマサはその歌を歌った。


バラードだった。
歌詞には、相手が好きで好きでたまらないという様な言葉と、幸せにする、みたいな事を歌っている歌だった。


私は、そんな歌詞が切なく感じた。


歌ってたのがマサだから、という訳でもないが、結局恋愛なんて、『幸せにする。』なんて言っても、終わりが来るもんだ。


リアルに今まで、そういう言葉を言われた事はないけど、友達の経験とか、別れてもまだ好き。なんてよく聞く話だし、思い出が〜みたいな事もよくある話。


私は、自分大好き人間だから、彼氏と別れてもそんなにクヨクヨしない方だし、思い出とかあんまり引きずらないけど。

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