虹の架かる橋
時間だ………。



マサが席を立って、手荷物を持ってお店を出る。


私とケンとユリもお店を出た。


向かうのは出国ゲート。


もう、涙が出そうだ。


頑張れケイ!!


何度も何度も自分に言い聞かせて歩いた。


そして、出国ゲートの前。


そこのエスカレーターからマサは行くんだね。


このゲートを潜ってしまったらもう日本じゃないんだよね?


エスカレーターの下はどこの国でもないんだよね?





「ケンとユリ、わざわざ来てくれて有難う。」


マサはケンとユリに別れの挨拶をしてる。


「マサ、戻ってきたら、絶対連絡くれよ!!」


「うん。わかったよ。」


そう言って、今度は私の番になった。




強く抱きしめられた。


そして、真っ直ぐな目で私を見てる。


私もマサを真剣に見た。


「絶対、約束守れよ。行ってきます。」


「うん。行ってらっしゃい。」


そう言ってキスをした。


そして、余韻を残す間もなくマサはゲートを潜ってエスカレーターに乗った。


私は必死でマサを目で追った。


だんだんとマサの身体が見えなくなった。


足が見えなくなり、腰が見えなくなり、肩が見えなくなり、それから頭まで見えなくなった。



< 133 / 305 >

この作品をシェア

pagetop