虹の架かる橋
マンションの下に戻ると、私の家の郵便ポストが、ギュウギュウに詰め込まれて、チラシがはみ出していた。


マサがNZに帰ってしまって、ポストなんて見なかった。


そう言えば……。


留守電に、手紙書くよって言ってたよね?


私は思い出して、慌てて鍵を開けて、詰め込まれた郵便物やチラシを出して、部屋に持ち帰った。


そして部屋に入るなり、テーブルの上にそれを無造作に置き、チラシと郵便物を分けた。


そして、一つの封筒に目が止まった。





赤と青の交互のラインが、封筒の端に縁どられている物だった。


表には、英語でエアメールって書かれている。


見覚えのある、ローマ字で私の住所と名前が書かれてる。


裏には、NZのマサの住所が書いてあった。


私は思わず、その手紙を抱きしめて、泣いてしまった。





マサ………。


本当に手紙を書いてくれたんだね。


私の事、忘れてなかったんだね……。


涙も枯れて出ないと思ったのに、マサが旅立ったあの日のように、私の涙腺は爆発した。


生きている実感が無かった毎日が、今やっとエンジンがかかった気がした。


「私、生きてるんだね…。マサ。」




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