虹の架かる橋
車のエンジンをかけ、成田空港を出る時、ケンの事を思い出した。


マサに見送りに来た時の、帰りの間違い話をした。


マサは「ケンならやりかねない」と言って笑っていた。


ねぇマサ…。
こうして再会して、マサは私が想っていたように、私の事を好きって実感してくれたのかな…?


空港の時も私から抱きついたし…。


マサは感情を表に出してくれないから、マサの考えている事がわからない。


愛されたいと思う私は、ついマサの気持ちを訊きたい、と思ってしまう。


それが重荷になるかもしれない、と口に出掛かったのを慌てて飲み込む。


重荷には絶対なりたくない。


高速は順調で、マサの実家にそろそろ着く。


「運転上手くなったね。」
マサが誉めてくれた。


「有り難う!マサはNZで運転してるの?」


「ああ、車がないと不便だから運転してるよ。」


「そっかぁ〜。じゃあ毎日とかかな?」


「まあね。」


運転をしてる私は、マサの表情が見れないのが残念に思えた。



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