虹の架かる橋
マサがNZに帰る日。


マサが昨日の夜、結婚式が終わって電話をくれた。


そして、見送りをしたい、と話して承諾を得たが、マサは始めは見送りする事を反対した。


理由は、私が泣くから、という事だった。


だけど説得をして、見送りをさせてもらえる事になった。


私は自分の車でマサの家まで迎えに行き、大きなトランクを車に積み込み、マサに運転を頼んだ。


助手席でマサを見ていたかったから。


フライトの時間が少しづつ近づいてくる。


車を成田空港の駐車場に停めると、私の心はどんどん苦しくなっていく。


嘘でもなければ、夢でもない…。


マサは本当にNZに帰ってしまうんだ、と心に太い釘を刺されているようだった。

マサは搭乗手続をして、前回入ったカフェで出国までの時間を潰そうと私に言った。


搭乗までの時間…。


私がマサと居られる時間。

「前は、ケンとユリが居てあそこの席に座ったんだよね。」
と、私が話すとマサは「そうだったね。」と笑顔で言った。




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