虹の架かる橋
マサは出国ゲートに立ち、私を抱き締めて「行ってきます。」と耳元で挨拶をして、優しくキスをした。



「いってらっしゃい。」
私は精一杯の明るい声で、笑顔で見送った。


ゲートを通過したマサは、笑顔で手を振ってくれていた。


私もマサの姿が見えなくなるまで、笑顔で手を振り続けた……。


そして完全にマサの姿が見えなくなると、押さえていた涙の粒が頬にスジを作り始めた…。




切ない気持ちの分だけ、私はマサを好きなんだ…。



私は涙を拭きながら、携帯を見つめた。


前回マサは出国ゲートを過ぎて、最後の公衆電話から連絡をくれた。


今回も携帯にかけてくれないかな、と期待して…。


だけど、その希望叶わなかった。


諦めて車に乗り込んだ時には涙も止まっていた。


エンジンを掛けようと鍵を差し込むと、ハンドルの横に紙が無理やりに挟み込まれていた。


私が、マサの家に迎えに行った時には無かった物だ。


その紙をゆっくりと開く。



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