虹の架かる橋
電話が切れた後、可能性は低いけど携帯を手に、マサからの電話を待った。


だが、夜になっても折り返しの電話は掛かって来なかった。


こんな時だからこそ、折り返しの電話が欲しかったし、少しでもマサの声を聞いて居たかった。


マサの残像が残るこの部屋に、私はたった独りで静かに部屋の外の月を見ていた。


真っ暗な闇に浮かぶ鮮明な月が凄く綺麗だった。


みずから自分の存在をアピールするように、自分はここに居る、と月は主張をしているように思えた。


……私もここに居るよ……。


そう思ったけど、マサには届かないんだよね、と自分が小さく思えてしまった。


私はマサにミーを会わせた事を凄く後悔した。


悔しいけど、比べたくないけど…、ミーは私より魅力があると思う。


だから余計に、日本に居る自分が惨めに思えた。




たまたま、地主の娘に産まれたから、親の金で気軽に海外に行けるだけじゃん。


私は、自分で自立してマンション借りて生活してるのに……。


無いものねだりをしている自分が、余計に見苦しい。





私も今すぐNZに行きたいよ……。


でもそんなお金も無ければ、海外に行く勇気も無い。



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