虹の架かる橋
マサの事を考えない日は無かった。


私自身がこのマンションに住んで居れば、マサが私の家に泊まった事を思い出すし、このマンションには思い出が多く残っている。


マサ専用のクッションやお揃いのコーヒーカップまである。


この狭いマンションで、マサと私は沢山抱き合ったし、沢山話をした…。


目を閉じると思い出す事がありすぎるんだ…。



マンションの更新の時期、私は初めて自分からマサの思い出を捨てた。



この部屋に居ると、私は前に進めない…。


そう思って、引っ越しをした。


その時、マサと別れて一年半が過ぎていた…。


荷物が全て運び出された後、私は何もない部屋で、マサとこの部屋で話した事を全て思い出していた。


時が過ぎる事が、こんなに切ないという気持ちになる、って事に初めて気がついた。



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