虹の架かる橋
シンゴも、ユタカから私の気持ちを聞いていたみたいで、その涙の意味や私がここに来る事を、不思議には思って居なかった。


知らなかったのは私とマサ。


マサも相当焦ったと思う。


だって、あんな別れ方をしたんだもん。


一方的に私を拒絶して、私から逃げたんだ……。


何を話していいか分からずに、私とマサは無言だった。


目の前に居るマサを見て、見るだけでも「有り得ない」と思っていた時間が嘘のように思えた。


恋焦がれて、切ない時間。


忘れたくても忘れられない思い出。


全ての事がこの一瞬で過去になった。




止まって動かなかった私の時間が、やっと、ぜんまいを巻かれたように、ゆっくりと動き出す……。


「少し、太ったね……。」
私はマサに言った。


「うん、日本帰ってきたからね……。」
とマサ。


その言葉には、あの遠距離恋愛の辛さが、重たく圧し掛かっているように聞こえた。




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