虹の架かる橋
「ほっとけなかった、って私には連絡も取れない状況にして、そんなのずるいよ。」


涙が溢れてきた…。


「あの時の私は、マサと連絡が取れなくて、毎日泣き続けたんだよ。携帯が鳴ればマサからかな?って期待して…。」



私は、当時の気持ちになって話した。


「ケイに連絡とろうと、電話を掛けようとすると、ミーに泣かれて掛けられなかった。」


マサは申し訳なさそうに言った。


「泣かれたから?って私だって泣いてたよ。」


ミーはずるい…。


そう思った。
マサに会いに行くだけのお金が親にあって、会ってからもマサに泣き縋ったなんて。


私はNZに行く事も、泣き縋る事も出来なかった…。


それがこの5年間なのかもしれない。


自分は待つだけで、追いかけようとしなかった事が、マサとの間に溝を作ってしまったのかもしれない。


「でも、連絡欲しがったよ。」  
私は力無く言った。


その言葉を聞いたマサは「今からやり直せないかな…。」と言った。


私は何を自分で望んでいるのか分からなくなっていた。


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