虹の架かる橋
「ケイ、これからまた、思い出を一緒に作る事出来ないかな?」


マサは上目遣いで私を見て言った。


そんな事言わないでほしい。


私の決心が揺らいでしまいそうだよ…。


そしてマサは私に一通の手紙を渡してきた。


鞄から取り出した手紙は、年月が入ってしまって、ヨレヨレになっていた。


「いつか会えたら、渡そうと思って書いたんだ。だいぶ時間が経ってしまったけど、読んでよ。」


渡された手紙を鞄にしまい、マサを見つめた。


今すぐ抱きしめてほしい、と思ったし、キスしてほしいとも思ったけど、私はマサから離れなきゃいけない、って心に強く思った。


「私、帰るね…。」
そう言って、マサと別れて歩きだした。


車でしか来た事無いけど、車の通る道に出れば、タクシー拾える。


そこから、駅に行けば帰れるだろう。


絶対に振り返ってはダメだ…。


好きだから…。


涙が止まらない。


振り返って、マサの胸に飛び込みたかった。


だけど、その行動をする事は出来なかった。


< 262 / 305 >

この作品をシェア

pagetop