虹の架かる橋
チケットを用意するのは簡単な事だった。


パスポートもあったし、盆や暮れ、正月でもないし、学生の休みが重なる訳でもなかったので、順調に出来た。


そんな時、飲み友達として付き合っていたユタカから電話が鳴った。


「元気?」と会話が始まり、最近の話など話して、NZにケジメを付けに行く事も話した。


ユタカは、「それもいいんじゃない。」と返答してくれた。


付き合っていた時代に、マサから届いた手紙の束を、ホコリのかぶった箱から取り出した時、凄く懐かしい想いを思い出した。


その手紙の束を箱に入れた時の気持ちは、マサを好きで毎日泣き明かしていたし、ミーの存在を恨んでいた頃の想いが込み上げてきた。


マサを、好きで好きで…。


本当に、自分の未来が見えなかった頃だった。


連絡も取れないし、私自身、何を支えに生きて行けばいいのか解らないと思っていた。


だけど、人はちゃんと生きれば、少しずつでも強くなれるんだ……。


私がそのいい例なんだ。



< 272 / 305 >

この作品をシェア

pagetop