虹の架かる橋
景色を見て立ち止まってしまった私は、我に返り、再びゆっくりとした足取りで橋の方に歩き出した。


その歩く速度と、自分のマサに対して費やした時間が重なりあいながら、思い出の最後の紐をといた。


それから、ゆっくりと橋に触れてみた。



…ねぇ、マサ?



私は、あなたとこの場所で、一緒に命が尽きるまでの約束をしたかったよ。 


あなたと過ごした時間は、私の思い出の中で、太陽に照らされていた時間だったよ。


本当に、本当に愛していました。


マサがこの橋を見ていた毎日が、私にとって辛かったけど、幸せだった、と今なら思えるよ…。



ねぇ、マサ…。


私達は、凄く素敵な時間を過ごせたんだよね?


今日は、虹が掛かっていないけど、気持ちにケジメを付けにきたから、よかったのかな…。


もし、虹が掛かっていたら、私はマサに対してケジメを付けられないかもしれない…。


なんだか、マサとは結ばれない運命だ、ってより一層思えてしまった。


だけどね、私はマサと出会えて、マサに恋して後悔なんてしてないよ…。


私は橋に語り掛けた。



ありがとう……。


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