虹の架かる橋
抱きしめられた私は、マサの温もりに、ずいぶん遠回りした自分の想いを確信した。


マサを信じられなかった、私の罰だったのかもしれない……。


マサの腕に包まれている、という現実が嘘にも思えたし、ここにマサがいるのが、夢にも思えた……。


そんな時だった。


マサが私に言葉をかけた。

「ケイ、明日もう一度この橋を一緒に見よう…。」


私は無言で頷き、マサを見た…。


マサも私を見ている。



「これは夢なの…?」


私はマサに訊いた…。


「夢じゃないよ…。」


マサは穏やかに、優しく言った…。


日本を離れて、素直な気持ちでマサの言葉が聞けた気がした……。


そして、マサは私の右手を握って、さっき来た道を、ゆっくりと戻るように歩き出した。


繋がれた私の右手に、マサからの気持ちが伝わった気がした……。



車に乗り込み、マサは私に優しいキスをしてくれた……。
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