虹の架かる橋
マサの運転に乗るのは、最後に成田空港に送った時以来だった。


私は何を話すでもなく、ただマサの横顔をずっと見つめていた。


「穴があくんですが…。」


とマサが、何年か前に言っていた言葉を言った。


その言葉を聞いたとたん、胸が急に締め付けられる気がして苦しくなった……。


あの当時とシンクロして、マサへの気持ちが溢れ出してしまう。


あの当時と変わらない笑顔で、マサはニッコリ笑いながら、車を走らせている。


車の外の景色は、すっかり暗くなっていた……。


「ケイ、ホテルは予約とったの?」
とマサが訊いてきた。


「うん。○×ホテルを予約してある。マサ、場所わかる?」


私はマサの顔を見ながら答えた。


心臓はまだ鼓動が早く、マサと二人だけでいる空間に慣れていなかった…。


車で15分位走っただろう、○×ホテルが見えてきた。


マサは「あそこだよ。」と言いながら正面玄関に車を回した。


マサともっと一緒に居たい……。



マサは私を送って、帰ってしまうのかな……?






もし神様が本当に居るなら、もう少しだけマサと一緒に居る時間を下さい……。



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