虹の架かる橋
部屋に戻るなり机に向かった。


テレビも付けずに教科書を開く。


学生時代には考えられない行動だ。


そして、勉強を始めてから1時間が過ぎた…。


いきなり部屋の電話が鳴った。


「はい。」


「ケイ、俺だけど。勉強してる?」

電話はマサからだった。


初めて聞く電話越しのマサの声にドキっとした。


恋のスイッチが入った。

心臓がドキドキして鼓動が早い。


声が上ずらないように落ち着いて
「うん。」
と答えた。


「解らないところ無かった?」
と優しくマサは聞いてくれた。


「ある。」
私はハッキリ答えた。
勿論、解らない事もあったけど、マサに逢いたかったから。


「じゃあ、今からそっち行くよ。」
とマサは言って電話を切った。


これからマサが来てくれる…。
そう思うとまた心臓にスイッチが入った。


マサは私の事をどう思っているんだろう?


聞きたいけど、聞けない…。



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