虹の架かる橋
マサが車から降りて、橋の方に歩きだした。


私もマサに着いて行く。



ゆっくりとした、私に合わせてくれる歩調で、橋に向かって行く…。



「本当にキレイだね…。」


私はマサに笑顔で言った。


「うん…。俺、NZにいた頃、毎日この道を通っていたけど、実際に虹がこの橋に掛かるのは、月に1日あるかな?って感じなんだ。だから、今日は多分、虹は出てないと思ったんだ。」



「正直、見れるなんて思ってなかった…。」


マサは静かに言った。



私はそれを聞いて、余計に嬉しく思えた…。



「マサ、私、今凄く幸せだよ…。」


私は、マサを見つめながら言った。




幸せって、こんなに温かい気持ちになれるんだ、って久々に感じる事が出来た。


同時に、マサにも同じ想いでいてほしい、って思う…。


幸せの定義なんて無いから、なかなか、幸せと感じる事が出来ない私は、まだまだ器が小さいが、お金や、名誉じゃない、心の幸せが、今の私を包み込んでくれる……。




…マサ、私はあなたをずっと好きで良かった…。


私の幸せは、マサがくれるんだよ…。



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