虹の架かる橋
「ケイ、訊きたいんだけど、いい?」


マサは、立ち止まって言った。


「うん。何?」


私も立ち止まった。


「あのさ、最後に逢った時、俺がやり直してほしい、って言った時、何で駄目だったの…?」



マサが、そう言うと、何て答えていいのか、上手く言葉にならなかった…。



気持ちを言葉にするのは、とても難しい…。


「あの時の私は…。」


そこで言葉がつまってしまった。


頭の中で、自分の気持ちを整理する。



へんな誤解をされない為にも、言葉を上手く選ぶ…。



マサは私の方を見ながら、後に続く言葉を待っている…。


私は、少し緊張しながら答えた…。




「あの時の私は、マサが居ない寂しさと苦しさを、やっと乗り越えて、心の中にしまい込めるようになった時だった。」


と、私はマサに話し始めた。



マサは無言で聞いている…。



「彼氏もあの時は居たし…。」



「だけど、居酒屋に行ったら、マサが居た。」



「心臓は、ドクドクして、緊張して、やっぱり好きって、一目見て自分の気持ちに確信した…。」



私は、自分の気持ちに嘘を付かないように、言葉を噛みしめながら、話していた…。



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