虹の架かる橋
「俺は正月過ぎたらNZに帰るって言ったよね。今ケイと付き合ったら、ケイは凄くツライ時間を過ごさないといけなくなっちゃうんだよ。」


「そんな事無いよ。大丈夫。だから…。」


「いや、それは今まだ時間と距離を経験してないから、言えるんだよ。」


「俺はね、愛した人にはいつも笑って居てほしいんだ。」


「だからケイにも笑って居てほしい。」


「付き合ったらきっと、ケイは泣き虫だから、離れている時間に沢山泣くよ。」


「だから、泣かせたくないから付き合えない。」


そうマサが話をしてくれてる間も、私の頬には涙が伝い落ちていた。


「ほら、また泣いてる。」
とマサが私の肩を抱き寄せた。


マサが着ている洋服の胸の辺りが、私の涙で色が変わってしまっている。


でも、そんなのはあんまり気にせずに、私はマサの背中に手を回して抱きついた。

こんなに愛しいのに…。


すぐ近くに居るのに…。


考え方の違いと言うか、マサの気持ちが優しすぎるからか、付き合えないと言われた言葉が、私とマサの間に境界線を、よりくっきりと引かれたようで、切なくなった。





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