可愛くない女が恋をする

「ここ…。」


保健室の特有の匂いがする。


「あら。目覚めた？」

「先生…。」

「あなた熱が３９度７分もあったのよ！！寝てなさいね！！」


熱…。


風邪なんて引いたの久々かも…。



キーンコーン…



授業終了の鐘。



「…え？！」


我にかえる。


「今何時間目の授業？！」

「まだ一時間目が終わったばっかりよ。」


安心する。
まだ、あの手紙の時間までしばらくある。



ガラ…



ドアの方を見る。


「よお。」

「竹中…。」

「お前、大丈夫かよ？朝めちゃめちゃ具合悪そうだと思ったら３９度だもんな！ありえねぇよ。」

「もしかして、また竹中が…？」

「ん？」

「竹中がここに運んできてくれたの…？」

「…まぁ他に誰もいなかったしな。」


俯く。


またこの人に迷惑をかけてしまった。
恥ずかしい。


「…ありがと。」

「別にいいけど、あんま無理すんなよ。結構危なかったんだぞ。」

「わかった。気をつける。」

「本当かー？まぁでも、怪我しなくてよかったよ。」


そういうと
ふと、顔を覗きこんできた。

恥ずかしさで目が合わせられない。


「ただ…顔色がよくならないな…。何か思いつめたりしてないか？」

「え？」


ギクリとした。


「べ、別にないけど…。」

「ふーん。言わないんだ。」

「え…。」

「まぁ、わかんねーけどさ。大丈夫だよ。」


そう言って
目線をそらし続ける私の頭を
強くなでた。


その瞬間。


涙腺崩壊。
声は出さない。顔も覆わない。
我慢していたものがあふれ出た。

竹中は黙ってそんな私を見ていた。