可愛くない女が恋をする
学校が遠いため、
私はこの学校の寮に入っている。


学校から5分のところ。


近くて便利だけど、
部屋が狭いのだけは
本当、勘弁して欲しい。

まるで独房だ。


ただ、
景色だけはいい。


寮の三階に住んでいるのだが、
寮自体が丘の上に建っているため、
景色が抜群にいい。

もちろん、学校の校庭や校舎もよく見える。


「あ…。」


野球部が野球をしている姿が見える。


野球なんて別に興味ない。

テレビでやっていても
見た事すらない。


ただ、


「竹中…。」


野球部のエースで、
次期キャプテンと言われている男。

うちのクラスの竹中が
バッターボックスに立っていた。


カキ…


高い音が聞こえ、
三塁の方に白球が走る。

ヒット。


帽子をかぶりなおして構える。

竹中は足が速い。

投手が一塁の竹中を警戒しているのが
こんなに遠くからでも分かった。


2ストライク1ボール。


投手の一瞬の隙を見て、
竹中が走り出す。


盗塁…。


ズボンをはたきながら
額の汗を拭う。



3ストライクでアウトを1個とられたが、

次の打者で竹中は
再び盗塁を決めて見せた。



グラウンドが

キラキラ輝いているように見えた。
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