妖勾伝
序章
時は、古。
寂れた長家で抱き合う、男と女。
その美しく伸びた肢体を男の躰にねっとりと絡ませ、荒く息を吐く。
闇に絡み付く、二匹の蛇。
男は女の躰を弄り、白い肌に舌を這わす。
薄紅がかった小さな二つの突起に舌を擦り付けると、そのまま一気に吸いあげた。
漏れる、熱い息。
「我慢できない…」
組みし抱いたまま、女の腰を激しく揺らす男の腕。
その激しい波にただしがみつき、身を預ける。
全てを吸い尽くすまでーーー
汗ばむ二つの裸体。
舐め摺りまわすその肌から離れられない男の姿は、まるで華に群がる虫の様。
男は感嘆の息を漏らすと、一気に昇天の域に達した。