妖勾伝

<2>














暗闇にうずくまる猫。




息を潜め、ただジッとそれが過ぎるのを待っていた。



闇の中、目に見えない何かと対峙し、その隙を見つけようと必死に見開かれる瞳。


まったりとした熱い空気が、丸まった猫の背をすっと撫でた。

殺気立つその背中から、我慢ができず怒りの声をあげる。



その瞬間ーーー







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