妖勾伝
「またかい?」
麗涼しい、午後のひととき。
疲れた足を休めに立ち寄ったその場所は人もまばらで、ひっそりと旅を続けたい二人には丁度良かった。
茶店で一服している男達が三人。
その話し声が耳に入る。
「酷いよな。
うちのカカアがよ、あんな酷いやられ方じゃぁ、物怪の類だって話してたけどね。
まぁ、誰がやってるかは知らんが、そのうち罰が当たるぞ。」
身震う、その姿。
顔を見合わせた、アヤとレン。
またこの手の話しか、とレンは溜め息をついた。