妖勾伝
アヤと旅をし始めて、早二年が経とうとしていた。
目的地の都までは、後もう少し。
長かった旅も、ようやく終わりを告げようとしている。
アヤを都まで、無事送り届ける事ーーー
それが今、レンが果たさなければならない使命。
しかし、二人の周りについて回る奇怪な闇。
ついこの間も立ち寄った村で、化け蜘蛛を退治してきたばかりだった。
巨大な化け蜘蛛。
ーー思い出しただけでも、気持ちが悪い…
レンの隣。
アヤは何食わぬ顔で、オヤジ達の話しを聞きながら煎茶を啜っていた。
その顔を見て、また溜め息が出る。
「何だ?
溜め息ばかりついて、どうした。」
「いや。
何でもない。」
そう、素っ気ない受け応えをするレンの団子を横取りすると、旨そうにペロリと口に入れた。