妖勾伝

酷い訛り。

あちこちの方言が混ざっている様。

しかし、その喋り方には似つかわない、整った顔立ち。



黒目がちの、大きな瞳。

透ける様な白い肌。

どこか、異国の血を感じさせるその白さに息をのむ。

その白い肌を隠す、厚めに切られた前髪と漆黒の長い髪を前に垂らし、横で束ねていた。

誰もが目を惹きつける、存在感。

女と同様に、見た者を虜にしてしまう、そんな魅力を持っている。


小柄なその者は、腰に小さな刀を二本さし、いつ抜いてもおかしくない様な殺気を放つ。



｢止めておけ。
これ以上アヤにしつこくすると、わちがぬしに手出しする前に、アヤに殺られるぞ。｣