貴方ハ今、何処二居マスカ
『………今の時期、桜が咲いてるなんて驚きました』
「あぁ……そうだね。 でも君はそれを望んでたんじゃないの?」
射る様な視線を私に向けた男性は手を幹に添わせた。
「君は咲いてる桜を見にきたんじゃないの?」
『……何故、貴方様がそんなことお分かりになるので御座いますか』
「勘だよ、勘。
職業柄、 人の心情とか読むの結構上手いんだよね」
男の人は着物の袖に手を合わせた。
『……』
「桜見れて嬉しい?」
『……はい。』
「そう……良かった」
笑った男性は優しそうな顔をしていて胸を締め付けられた。
『……貴方様は何時も此処に?』
「うん」
『……また、来ても宜しいでしょうか』
男性は驚いた顔をしてから優しく微笑んだ。
「僕はいつも此処に居るから」
「いつでも来ていいよ」
「僕は、総司。 君は?」
『………菊花』
彼、総司と出会ったのは
季節外れの桜の木の下だった。