闇ノ雫
「──奪ってもいいって、事か?」
驚いて、また顔を上げる。
筆を硯の上に置くと、副長は俺の方を向いた。
先日の、小松と副長の光景が脳裏をちらつく。
副長、まさか……。
「あのな、こっちは限界なんだよ。惚れてる女を泣かされてな」
「……」
「恋仲でもないのに、何を言ってやがると思ってるだろうがな」
──副長も、小松の事が好きなのか?
「これ以上泣かせるのなら、奪うぞ」
「……」
……あぁ、そうだ。
「副長なら、あいつを幸せにする事が出来ると思います」