闇ノ雫
「俺には、あいつの側にいる資格はもうありませんから」
「だったら聞くが……ついこの間までの、仲良さげな態度は何だったんだ?」
……惚れてるから、優しくしてしまった。
それは、言い訳だ。
「もう、嫌いになったんです」
違う……違う。
俺は今でも、小松が好きだ──。
「副長、もうこの話はやめませんか」
「おい……っ」
「あいつを、幸せにしてやって下さい。俺の事なんか、あいつの中から消して下さい」
「小松は、お前じゃねぇと駄目なんだよ!……山崎!」
まだ何かを言いたそうな副長を置いて、俺は部屋から出た。
──ただ、逃げたかっただけだった。