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歴史・時代小説一覧
闇ノ雫
111ページ
闇ノ雫
途端に、あの時の恐怖が俺に襲いかかってきた。
また、小松が消えてしまう──。
「芳乃……っ!」
この女の名を、叫んだ。
遠い昔のように。
ひょっとしたら、俺が楽しいと思っていた過去を、思い出してくれるのではないか。
あの過去を小松が知ったとしても、今までと変わらず接してくれるのではないか。
だが、そんな淡い期待は叶うはずがないのだ。
小松が消える瞬間、俺の頬を涙が伝っていた。
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