闇ノ雫
──
───
────
この戦争で、俺が副長から受けた命令は、情報の伝達。
だから、京と大阪を行ったり来たりしていた。
それも敵の目を盗んで。
敵がまだそこまで進軍していない今は、何とか屯所にいられるが……明日からの戦の行方は、ほとんど目に見えている。
新選組の隊士たちは、いつでも戦えるよう戦闘体勢は完璧だった。
例え寝ているときでもだ。
それは当然、俺も同じ。
だから、
「──誰だ」
気配に、気付かないわけがなかった。
俺に迫っていた誰かの腕を掴み、畳に押し倒す。
誰にも気付かれず、屯所内に入ってきたということは、相当腕の立つ者なのではないか。