闇ノ雫
それとも……いや、小松なわけがない。
あいつはもう、この時代にいないのだから。
しかし。
月明かりで照らされたその顔。
布の隙間からだが、この目はあいつしかいない。
「小松……?何故、ここに……」
いるはずのない想い人が──また俺の前に現れた。
どういうことだ……?
また、この時代に戻ってきたのか?
だったら何故?
「山崎……私、思い出したよ……」
「思い出した……?」
何を?
……いや、決まってる。
あの過去に決まってる──。