闇ノ雫
何度も何度も……小松は、首を横に振り続けるだけだった。
「何故、憎まないんだ……何故なんだ……っ」
「……憎めるわけないよ…」
ゴトッと低い音がし、苦無は畳の上に転がっていった。
力なく、俺の腕も下に落ちる。
「山崎……。敵とか味方とか、そんなの関係なしで、私の事どう思ってる?」
敵も味方も……関係なしに……?
……何度、思ったことだろう。
あんな過去がなければ。
小松が敵でなければ。
メニュー