闇ノ雫
「静かにするんだ。……死にたいのか」
「母様と父様が……っ」
しかし、尚も叫び続ける女の子。
俺は小さく舌打ちを打つと、この家の裏まで走り抜け、再び口を塞いだ。
だけど、女の子は首を振って、無理やり手を外させる。
「何でこんな事するの……」
「……」
「母様も父様もお爺ちゃんも危ないのに、何で助けさせてくれな……っ⁉」
泣き叫ぶ女の子の体を、ぎゅっと抱きしめる。
その体は、一瞬固まったが、次第に小刻みに震え出した。
両親が死にそうだ、とかそれ以前に。
怖いはずだ、この子も……。
「う……っ」
「大丈夫だ、大丈夫だ……お前の親が死ぬはずないから……」