闇ノ雫
黒い西洋の軍服を纏った新政府軍の行列。
一人一人鉄砲を斜めにかけ、先頭にいる者が、何やら見たこともない楽器を持って歩いている。
さらに一番目立っているのは、浅葱色の空に掲げられ、真っ赤な布の一番上に金色の丸が描かれた旗だった。
──あれは他でもない、錦の御旗。
何故、天皇の味方であることを証明する旗を、新政府軍が持っている?
いつの間に、こんな展開になっていたのだろうか?
その新政府軍に刀を振るう俺達は──賊軍となる。
「くっ……」
早く、副長に知らせねばならない。
あんな旗を掲げられれば、撤退を余儀なくされるだろう。
副長に、早く決断を下してもらわなければ──。