闇ノ雫
その言葉を……小松は、敵だと分かってからも言ってくれた。
子供の頃は、泣いている小松をただひたすら助けたくて。
だけど、小松の存在も、過去も、全てが消えてなくなったことになった。
探しても探しても……見つからなかった。
そして、再会した俺の前には、あの過去が立ち塞がって。
それでも、過去を引きずっていたのは俺の方だった。
例え、自分が山崎家の人間だろうと、「殺したのは自分ではない」と、初めから堂々と言えていれば良かったのだ。
小松はもう既に、前を向いていた──。
「──好きだ」
これが、俺の正直な気持ちだ。
嘘偽りは全くない。
「うっ、うぁぁ……!山崎……っ」
「……何で泣いて…」
小松は俺の腕の中で、さらに泣き出した。