闇ノ雫
──新選組軌跡録。
そんな題名が書かれた一冊の本を、私はパタリと閉じた。
戊辰戦争から五年の月日が経つ。
明治時代となった今、風景はまだ江戸の時と同じものの、徐々にこの日本も西洋化してきている。
そして、今。
「山崎っ、山崎山崎~~!」
私は嬉しくて、筆を置くなり飛び跳ねた。
何故かというと、新選組の記録を書き連ねた本を、ようやく書き終えたからだ。
「どうした」
「完成したよ!ほら!」
はいっ、とその本を手渡すと、山崎も嬉しそうに目を細めた。