闇ノ雫



「俺はいつも、“芳乃”と呼んでいる」


「う、うん……」


「お前は昔、俺をなんと呼んでたか覚えてるか?」


「えぇっと……?」


「“すすむくん”だ」




そ、そうだった……。


あの過去の夢を思い出す。




「そして俺らは今、恋仲だ」




恋仲、なんて言葉を聞くと、何だか急激に恥ずかしくなってくる。




「いつまでも“山崎”と呼ばれるのは……」




そこで言葉を止めると、山崎は下を向いていた。



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