闇ノ雫
「笑ってるの?」
「すまないすまない、面白くて、つい」
「つ、ついって!」
私がどんだけ心配したと思ってるの!?
あー……なんだ、もう。
「これからは丁寧に“山崎さん”と呼ばさせて頂きます」
「そうか。じゃあその本は、そのまんまの状態で世に広まっていくんだな」
「…… うっ」
一気に暗闇のどん底に突き落とされる。
私が一生懸命書いた……
だけど下手くそな本が……
このまんま、広まっていく!?
そんなの嫌だ。
そう思っていると、ふわりと頭に温もりを感じた。