闇ノ雫
“あんな過去は存在しなかった”
“小松家の消滅”
小松家の存在を知っている者は、俺以外にいなかった。
あぁ……これはきっと、両親達の都合のいい演技だ。
そう自分に言い聞かせた俺は、山崎家を継がない事に決めた。
ただ日本一になるのを目的に、人を殺す忍。
父上や母上のような忍。
そんなものにはなりたくない。
その代わり、芳乃を守る為に強くなる、と。
──“守る忍”になると。
芳乃は、消えてなんかない。
必ずどこかで生きている。
小松家と共に生きている。